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カーネーション

 母の日のプレゼント用にと、虹色つきの薔薇とカーネーションの写真が新聞に載っていた。オランダで発案され、徐々に広まり日本でも売れ筋とか。白の花に吸わせる水に何色かの色をいれると、虹色になるらしく企業秘密ではっきりした事はわからないとある。

個人的には余り好ましく思わないが、喜ぶ人が居るから造るのであろうが、最初、母の日に感謝を籠めて贈った純粋な気持から始まり、アメリカで行事化され、戦後日本に伝わり商魂逞しさに乗せられて華やかな行事と化して来た。

 母への感謝の気持を表さないよりはましではあるが、品物に託す思いは今日一日限りではなく持ち続け、折に触れ表す態度を子から孫へ伝えられる事が、核家族の現在一番大切な行動と思う。

 誰もが老いる。60代では親の老に接して薄々老とはと知るものの、実際自分が其の境地に立って知る老の厳しさは見たり聞いたり接しただけでは解らない。生きる事だけでも大変な老の山坂である。

 ご主人に先立たれ、透析を受けながら子供達に迷惑を掛けたくないと一人暮らしを続けていた近所の知人が、息子が「一緒に暮らそうと言ってくれる内に」と千葉の息子宅に移ると分かれに来た。後姿は小さく見え寂しさが滲み出ていた。長く住み慣れた家を離れる事は辛かろう、ご主人との生活、子育ての苦労の数々が詰まった思い出が刻まれた家を去る寂しさは格別である。老いてからの新天地での近所づきあいも侭ならず、家族だけが頼りの生活で孤独にならぬ様と胸が熱くなった。母の日を前に幸せである事を祈る。

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