制度
今ならば罪にもならぬ事であるが、敗戦になり、制度が改められるまでは理由如何に拘わらず、厳しい刑罰があった。刑罰の内容とは、「堕胎罪」。昭和10年頃、名の知れた「志賀暁子」と言う女優がいた。昔は名が売れてくると恋愛も、結婚もご法度。例え、結婚しても、子供が生まれても親の籍に入れたりして世間に知られぬようにした。彼女は妊娠し、極秘裏に処理したことが発覚、即逮捕され長い刑に服した。
近所でも事件は起きた、夫は日雇い労働者、家内は賃仕事、二人の幼い子供との暮らし、其処へ、召集令状が来て夫が出生して行った。生活はどうなるのかと心配はしていたが、一ヶ月も経たない夕方、おかみさんが巡査二人に付き添われて、近くの畑を掘り返していた。青ざめた顔色、みすぼらしい姿で連れて行かれた。勿論投獄されたのだが、夫が出征したあとで妊娠がわかり、自分で秘かに処分して畑に埋めたとか、此れが警察の知ることとなり、実地検証されていたのだと後でわかった。
斯うした厳しさ、恐ろしさもあるが、相手が決まり、結婚式が済むまでは、親が赦した中とは言え、処女を大切に守り、純真無垢な身を背の君に捧げるを誇りとした。結婚前に妊娠したとすれば勘当、駆け落ち、家の恥と家族全部が笑いものになった。世間の物笑いにならぬ様、夫々が自重した。
今の時代はおおらかと言うか、出来ちゃった結婚あり、簡単に自分達の意思だけで結婚も出来るし、相手や子供の気持を考えずに簡単に離婚をする。何とした時代であろう。おまけに、子供は減ってゆく。どこかで操作出来ないものか。憂いは尽きない。
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