物忘れ
鶴の嘴が挟みになっているデザイン模様の鋏、20年位前の頂き物であるが何でも良く切れる。筆立て入れに差し込ん使わない日は無いほどに重宝している。
此れが見当たらない、はて?何時使ったか記憶を辿る。三日前か?いや、ひょっとすると昨日読んだ雑誌に挟まって気付かずにしまったか、最後に使用した状況を思い出そうとしても思い出せず、頭から離れない。もしやと思うところは小まめに探すが見当たらない。目に入ってしまっているかも知れないと家族に協力を頼んで、別の目で見て貰うが無い。とうとう来たか!と少々落ち込む。
物の間に挟まったかとテーブルの上の物入れも引っ繰り返して調べたが無い。お蔭で整理が出来たものの、疲れてきたのと歳の所為とは言え斯うも忘れるものかと呆れ、情けなくなる。数年前、手入れして人に上げようと思った装飾品が何処へ入れたか見当たらず、其れきり出てこない前歴があるので余計自信が無い。
仕方がない、他の挟みにしてと、一時諦める事にするとした朝、何と、家族が使った場所に置き忘れていたことを思い出してくれ、無事に手元に戻り安堵したが、それ以上に安心できた事は、無くなると人の所為にする痴呆症の初期でない事に確信が持て、記憶を呼び出そうと、日を追ってじっくり行動を手繰り寄せる事が出来た事に喜べた。
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